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税制改正情報

法人税関係の改正

各制度の内容と改正点

(1)中小企業経営強化税制

中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上企画に基づき中小企業者等が特定経営力向上設備等の取得等をした場合に、即時償却又は10%(資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者等は7%)の税額控除を選択適用できる制度です。

同制度は2類型あり、生産性向上設備は、一定期間内に販売されたモデル(最新モデルである必要はありません)で、経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上してる設備で、工業会等から証明書を取得する必要があります。収益力強化設備は、年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき、経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備で、経済産業局から確認書を取得する必要があります。

中小企業経営強化税制の概要

類型 生産性向上設備(A類型) 収益力強化設備(B類型)
対象設備 ◆機械・装置(160万円以上)
◆測定工具及び検査工具(30万円以上)
◆器具・備品(30万円以上)
(試験・測定機器、冷凍陳列棚など)
◆建物附属設備(60万円以上)
(ボイラー、LED照明、空調など、)
◆ソフトウエア(70万円以上)
(情報を収集・分析・指示する機能)
機械・装置(160万円以上)
工具(30万円以上)
器具備品(30万円以上)
建物附属設備(60万円以上)
ソフトウェア(70万円以上)
確認者 工業会等 経済産業局
その他要件 生産等設備を構成するものであること※/国内への投資であること/中古資産・貸付資産でないこと、等
税制措置 即時償却又は7%税額控除(資本金3千万円以下もしくは個人事業主は10%)

※事業の用に直接供される設備(生産等設備)が対象。例えば事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物付属設備等は対象外

両類型とも経営力向上計画の認定後に取得することが原則となりますが設備取得後に経営力向上計画を申請する場合には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があります。このような場合は税制措置の適用を受けるためには、制度の適用を年度単位でみるため、遅くても当該設備を、取得し事業の用に供した年度内に認定を受ける必要があります。

(改正)
適用期限が平成33年(2021年)3月31日まで2年延長されました。
また、適用対象となる設備のうち、建物附属設備(60万円以上)では工場等の休憩室等に設置される冷暖房設備、器具・備品(30万円以上)では作業場等に設置されるテレワーク用のパソコン機器等など、担当省庁がQ&A集を今後公表するなどして、働き方改革に資する対象設備を明確にします。ただし、対象設備は生産等活動の用に直接供される工場や店舗、作業場等に設置されるものに限られることとなります。

働き方改革に資する設備の例
建物附属設備 工場等の休憩室等に設置される冷暖房設備等
器具備品 作業場等に設置されるテレワーク用PC等

※生産等活動の用に直接供される工場、店舗、作業場等に設置されるものに限る。

(2)中小企業投資促進税制

下表に掲げる一定の機械装置等の対象設備を取得等した場合、取得価額の30%の特別償却又は、7%の税額控除が選択適用できる制度です。

税額控除は資本金3,000万円以下の法人及び個人事業主のみで、その事業年度の法人税額又は所得税額の20%までが上限となりますが、平成29年度改正により、中小企業経営強化税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制と合わせて20%が上限となっています。

また、特別償却において、限度額まで償却費を計上しなかった場合の償却不足額及び税額控除において、税額控除限度額を超える金額は、翌事業年度に繰り越すことができます。

中小企業の投資を幅広く支援するため、ほぼ全ての業種を対象としており、機械装置、測定工具・検査工具、ソフトウエア、普通貨物自動車、内航船舶を取得する場合(リース含む)に適用が可能。なお、ここでいうソフトウエアには複写して販売するための原本や研究開発用ソフトウエアは対象外となります。全体としては、中古品や貸付の用に供する設備は対象外です。

また、一定の電子計算機、デジタル複合機、試験又は測定機器などは、29年度改正で対象外とされましたので、これら器具備品の設備投資を検討・導入する際には、中小企業経営強化税制もしくは商業・サービス業・農林水産業活性化税制の活用がのぞまれます。

(改正)
制度内容はそのままで、適用期限が平成33年(2021年)3月31日まで2年延長されました。

中小企業投資促進税制の対象設備

設備 要件
機械装置 1台又は一基の取得価額が160万円以上のもの
測定工具・検査工具 1台又は一基の取得価額が120万円以上のもの、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上
一定のソフトウエア 一のソフトウエアの取得価額が70万円以上のもの、複数合計が70万円以上
普通貨物自動車 車両総重量3.5t以上(注2)
内航船舶 全て(注3)

(注1)中古品、貸付の用に供する設備は対象外です。
(注2)普通貨物自動車は、道路運送車両法に規定する普通自動車で、貨物の運送の用に供するものが対象です。
(注3)取得価額の75%が対象となります。

(3)商業・サービス業・農林水産業活性化税制

商業・サービス業等を営む中小企業者等が経営改善指導等に基づき、1台又は1基の取得価額が30万円以上の「器具備品」、一の取得価額が60万円以上の「建物附属設備」を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用できる制度です。

中小企業投資促進税制と同様に、税額控除は資本金3,000万円以下の法人及び個人事業主のみで、その事業年度の法人税額又は、所得税額の20%までが上限となりますが、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制と合わせて20%が上限です。特別償却で限度額まで償却費を計上しなかった場合や、税額控除で税額控除限度額を超える金額は、翌事業年度に繰り越せます。

適用対象者は、認定経営革新等支援機関など経営改善指導等を行う機関から、経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類の交付を受けた中小企業者等で、経営の改善に資する資産として、経営改善指導助言書類に記載された一定の器具及び備品並びに建物附属設備が対象設備となります。

(改正)
適用期限が平成33年(2021年)3月31日まで2年延長されました。
また、消費税率引上げを見据え、商業・サービス業を営む中小企業者等の設備投資を引き続き促進する観点から、税制措置の有効性を高めるため、投資を含む経営改善により「売上高又は営業利益が1年間で2%以上向上すること」が見込まれることについて、認定経営革新等支援機関など経営改善指導等を行う機関の確認を受けることが、適用要件に追加されています。

経営改善指導等に基づく設備投資
【活性化に資する設備の例】
〈飲食店の場合〉
  • 「画像識別機能付きPOSレジ」を導入し、レジ精算の効率化、接客サービスの向上を実現。
  • POS連携により、売れ筋商品を把握し、売上の向上につながる。
〈介護業の場合〉
  • 「介護用浴槽」を導入し、大幅な効率化により生産性が向上。
  • 介護従事者の負担も減少し、離職率も低下。

中小企業者等の法人税率の特例

中小企業者等の法人税率については、年800万円以下の所得金額に対する税率は15%に軽減されていますが、この特例措置の適用期限が平成33年(2021年)3月31日まで2年延長されました。

改正の背景と内容

平成19~20年に発生したサブプラム危機及びリーマン・ショックにより世界の金融資本市場が混乱に陥り、日本経済も景気下降が長期化かつ深刻化する恐れが高まる中、政府が平成20年に決定した「生活対策」において「中小企業に対する軽減税率の時限的引き下げ」の税制面での対応策が盛り込まれました。

これを受けて、中小企業者等の法人税率の軽減措置は、平成21年度税制改正において年間800万円以下の所得金額に対する税率の特別措置を、新たに設けて、従前の22%から18%に軽減。さらに23年度改正では18%から15%に引き下げ、これまでの適用期限の延長を繰り返してきました。

対象 本則税率 租時税率
大法人(資本金1億円超の法人) 所得区分なし 23.2% -
中小法人(資本金1億円以下の法人) 年800万円超の所得金額 23.2% -
年800万円以下の所得金額 19% 15%

中小企業投資促進税制等の見直し

中小企業等の設備投資を支援する税制措置として、(1)中小企業経営強化税制、(2)中小企業投資促進税制、(3)商業・サービス業・農林水産業活性化税制がありますが、いずれも適用期限が2年延長されるとともに、中小企業経営強化税制では対象設備の明確化、商業・サービス業・農林水産業活性化税制では適用要件の追加、の見直しが行われています。

中小企業防災・減災投資促進税制の創設

ここ数年、自然災害が頻発していることから、中小企業及び小規模事業者が防災・減災に関する事前対策の計画の認定を受けて設備投資を行った場合に特別償却できる「中小企業防災・減災投資促進税制」が創設されました(措法11の4、44の2、68の20関係)。

制度の内容

中小企業防災・減災投資促進税制の対象者は、中小企業等経営強化法改正を前提とする「事業継続力強化計画」等の認定を受けた中小企業・小規模事業者です。中小企業が単独で取り組む場合には「事業継続力強化計画」、複数の中小企業が連携して取り組む場合には「連携事業継続力強化計画」を、経済産業大臣が策定・提示する防災・減災対策に関する基本方針に基づいて作成します。

計画では、①自然災害が事業活動に与える影響の認識(被害想定等)、②体制の構築、③初動対応や設備投資、取引先や同業他社との連携などの事前対策の内容、④定期的な訓練の内容など事前対策の実効性の確保に向けた取組、を策定。認定を受けるには、例えば、地震発生時にサーバがダウンしないように制震装置や非常用発電機を導入するといった、自然災害が事業活動に与える影響を踏まえた事前対策や、その事前対策が確実に実施される見込みがあることを具体的に記載することがポイントとなります。

税制措置の適用対象となる設備は、自家発電機や排水ポンプなどの機械装置(100万円以上)、制震・免震ラックや衛星電話などの器具・備品(30万円以上)、止水板・防火シャッター・排煙設備などの建物附属設備(60万円以上)。これらの対象設備を取得等して事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却ができます。

適用期日

中小企業等経営強化法の改正法の施行日から平成33年(2021年)3月31日の間の取得等について適用となります。

措置の内容

対象設備 特別焼却率
機械装置
器具備品
建物附属設備
20%
最低投資額 機械装置:100万円
器具備品:30万円
建物附属施設:60万円

【事業継続力強化計画(仮称)の認定】

  • 主務大臣の定める中小企業者の事業継続力強化に関する「基本方針」に照らし適切なものであること
  • 事業継続力強化を確実に遂行するために適切なものであること(対象設備の例)
    機械装置:自家発電機、排水ポンプ、制震・免震装置
    器具備品:データバックアップシステム、衛星電話、照明器具
    建物附属設備:貯水タンク、浄水装置、防火シャッター消火設備、排煙設備 など