税制改正情報
相続税関係の改正/
小規模宅地等の減額特例の見直し
1 改正内容
(1)小規模宅地等の要件の見直し
改正前は相続人等が相続税の申告期限まで事業または居住の継続をしない小規模宅地等についても、上限面積200㎡・減額割合50%の課税の特例の適用を受けることが可能でしたが、平成22年度改正により小規模宅地等の対象外とされ、課税の特例を受けられないことになりました。
<改正前>
宅地等 | 上限面積 | 軽減割合 | |
---|---|---|---|
事業用 | 事業継続 | 400m2 | 80% |
事業非継続 | 200m2 | 50% | |
不動産貸付 | 200m2 | 50% | |
住居用 | 住居継続 | 240m2 | 80% |
居住非継続 | 200m2 | 50m2 |
<改正後>
宅地等 | 上限面積 | 軽減割合 | |
---|---|---|---|
事業用 | 事業継続 | 400m2 | 80% |
事業非継続 | − | − | |
不動産貸付 | 200m2 | 50% | |
住居用 | 住居継続 | 240m2 | 80% |
居住非継続 | − | − |
※50%減額となる不動産貸付の用に供されている宅地等についても、事業(保有)継続要件が加えられました
(2)共同相続した場合の見直し
改正前は課税の特例が受けられる小規模宅地等を複数の者が共同で相続等により取得した場合には、その取得者のうち1人でも適用要件を満たす者がいるときには、その小規模宅地等の全体が80%減額割合の対象とされましたが、平成22年度改正により、その取得者ごとに適用要件を判定することになりました。
(3)宅地の上に存する一棟の建物のうちに、居住用と貸付用がある場合の見直し
改正前は、宅地の上に存する一棟の建物のうち、居住用部分が含まれている場合には、特定事業用宅地等に該当する部分以外のすべての部分が特定居住用宅地等と同様の上限面積・減額割合とされてきましたが、平成22年度改正により、特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して減額割合を計算することになりました。
(4)複数の居住用宅地等がある場合の特例適用の明確化
改正前は、被相続人等の居住の用に供していた宅地等が複数存在する場合には、小規模宅地等の課税の特例の適用について明確な規定がありませんでしたが、平成22年度改正により、特例の対象が「主として居住の用に供していた一の宅地等に限る」と明文化されました。
2 適用時期
上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続または遺贈により取得する小規模宅地等に係る相続税について適用されます。