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税制有利な有限責任事業組合(LLP)制度が8月1日からスタートしました

柔軟な経営ができ出資者の責任も限定される一方、税制面では会社よりも有利に扱われる、新事業組織、有限責任事業組合(LLP)が8月1日からスタートしました。LLPは、Limited Liability Partnershipの略で、既に商法などを新しい会社法に改める作業と並行して制度作りが進められ、本年4月に関連する法律が成立していました。LLPは、現行の株式会社や有限会社と並ぶ、「有限責任事業組合」という新しい事業体です。具体的には1.構成員全員が有限責任で、2.損益や権限の分配が自由に決めることができるなど内部自治が徹底し、3.構成員課税の適用を受けるという3つの特徴があります。

1.有限責任

有限責任とは、出資者(LLPの場合、組合員)が、出資額の範囲までしか事業上の責任を負わないことをいいます。有限責任により、出資者にかかる事業上のリスクが限定され事業に取り組みやすくなります。

2.内部自治

内部自治とは、組織の内部ルールが、法律によって詳細に定められるではなく、出資者(組合員)同士の合意により決定できることを意味します。

A.柔軟な損益や権限の分配
出資者の間の損益や権限の分配は、出資者の労務や知的財産、ノウハウの提供などを反映して、出資比率と異なる分配が可能です。

B.内部組織の柔軟性
LLPの組織統制は、出資者の間で柔軟に決めることが可能です(取締役会や監査役などの機関設置は強制されない)。

3.構成員課税

構成員課税とは、組織段階では課税されず、出資者に直接課税される仕組みです。構成員課税の場合、LLPの事業で利益が出たときはLLP段階で法人課税されず、出資者の利益分配に直接課税されることになります。またLLPの事業で損失が出たときには、出資の価額を基礎として定められる一定額の範囲内で、出資者の他の所得と損益通算が可能となります。

4.LLPの活用分野は?

LLPが活用されるのは、法人や個人が連携して行う共同事業です。
(例)

  • ベンチャー企業や中小企業と大企業の連携(ロボット、バイオテクノロジー分野)
  • 異業種の企業同士の共同開発(科学技術の共同開発)
  • 産学の連携
  • 専門家が行う共同事業(IT関連、ソフトウェア開発、経営コンサルティング)
  • 地域のまちづくり

5.LLPの立ち上げ方法は?

組合員による、LLP契約の締結

契約に記載した出資金の払い込み

管轄法務局に組合契約の登記

*会社と異なり 公証人による定款認証手続きは不要

6.LLP費用は?期間は?

  • 費用・・・LLP契約の登記に必要な登録免許税は6万円(最低)
    これに専門家に手続きを委託した場合は、別途手数料がかかります。
  • 期間・・・登録申請書類審査に1週間程度かかると思われます。

LLPは、株式会社などの有限責任制と、民法組合の自由な運営という長所を正に「いいとこ取り」していますね。LLP立ち上げに関する問い合わせは、こちらからどうぞ