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トピックス
配偶者の税額軽減特例と二次相続
相続税法には「配偶者に対する相続税の税額軽減」という特例(以下「配偶者の税額軽減特例」といいます)があります。被相続人の財産の維持形成に対する配偶者の貢献や被相続人の死後の配偶者の生活の保障などがこの特例の趣旨で、特例を適用すると1億6千万円か配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。
この配偶者の税額軽減特例を限度額まで適用すると、一次相続(配偶者の一方の死亡による相続・例えば夫)の相続税の負担は軽くなりますが、二次相続(配偶者の残された一方の死亡による相続・例えば妻)まで合わせた相続税額を考えたときに、相続税の負担が大きくなる場合があります。
その理由の一つは、二次相続では法定相続人の数が減るためです。例えば、一次相続で法定相続人が4人(妻、子3人)いたとしても、二次相続では法定相続人が3人(子3人)となり、基礎控除額が600万円の減額となります。
また、相続税は累進課税方式(相続財産が増加するほど税率があがる課税方式)により計算されるため、配偶者の相続財産によっては、高い税率で相続税が計算されます。一次相続で多額の財産を相続した場合や配偶者が固有の財産を所有している場合は、それも含めたところで相続対策を検討する必要があります。
一次相続と二次相続の間が10年以内の場合、相次相続控除(二次相続において、一次相続で負担した相続税額の一部を控除する制度)を検討しますが、配偶者の財産状況により、一次相続において配偶者の税額軽減特例を最大限適用せず相続税を払うことで現預金を減らし、配偶者の相続財産を圧縮することで、一次相続と二次相続を合わせた相続税の負担が軽くなることもあります。