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トピックス
あの“呆れた税制”、3月決算法人から
本年3月決算以降で、多くの中小企業に関わってくるのが、「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度」です。
同制度は、オーナー役員(業務主宰役員)の支配力が強い実質的な“一人会社”である特殊支配同族会社は 個人事業者と実質的には大差がないにもかかわらず、業務主宰役員給与が法人段階で損金算入となって所得が減少し、 個人段階でも給与所得控除によって所得が減少するという、法人成りの利点とされる「経費の二重控除」を活用しやすいとされる点や、 さらに会社法において最低資本金規制の撤廃等がされたことにより、法人の設立が容易になることを踏まえたものとして創設されています。
実際にどのような状態の会社が“特殊支配同族会社”に該当するのかというと、 発行済み株式数や議決権株式などに占める業務主宰役員とその親族、当該会社の支配会社等の所有割合等が90%以上で、 さらに常務に従事する役員のうち、業務主宰役員と、その親族である者の数が50%超である同族会社と規定されています (法人税法35条、法令72条)。そして、特殊支配同族会社の要件に該当すると、業務主宰役員の給与所得控除額が損金不算入となってしまうわけです。
ただ、特殊支配同族会社に該当するすべての会社で業務主宰役員給与が損金不算入になるわけではなく、 前年度から3年前の事業年度の3年分の所得や業務主宰役員給与の額等を使用して計算した基準所得金額が800万円以下、 もしくは800万円超3,000万円以下で基準所得金額に占める業務主宰役員給与が50%以下、この2つのどちらかに該当すれば適用除外となります。 すなわち、本業不振で欠損が発生している会社にとっては、業務主宰役員給与が損金不算入となる可能性が低いといえそうです。
なお、平成19年4月1日以降開始事業年度からは、基準所得金額の適用除外の要件が1,600万円以下、 もしくは1,600万円超3,000万円以下で基準所得金額に占める業務主宰役員給与が50%以下、に緩和されます。