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活用したい!小規模企業共済法と倒産防止共済法の改正

小規模企業共済法、及び、中小企業倒産防止共済法の一部改正法が成立しました(2010年4月14日成立、2010年4月21日公布。詳細は、政令や経済産業省令等によって定められます)。

1.小規模企業共済法の一部改正について

小規模企業共済は、小規模企業者が、廃業や引退後の生活資金等を予め掛金を積み立てておく制度で、廃業時や退職時に共済金を受け取ることができます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

小規模企業共済制度の概要、改正の主なポイントは次の通りです。

(1)概要

①加入資格
常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と法人の役員、一定規模以下の企業組合や協業組合、農事組合法人の役員。

②掛金

  1. 毎月1千円〜7万円(5百円刻み)の範囲内で選択。
  2. 税法上、「小規模企業共済等掛金控除」として課税対象所得金額から控除。

③共済金

  1. 受け取り方法:「一括受け取り」、「分割受け取り」、「一括受け取りと分割受け取りの併用」のいずれかを選択可能。
  2. 税法上の取り扱い:「退職所得扱い」または「公的年金等の雑所得扱い」、「一時所得扱い」、「(相続税法上)みなし相続財産」など、受け取るケースによって異なる。

④契約者貸付制度
払い込んだ掛金合計額の範囲内で、一般貸付け、傷病災害貸付け、創業転業時貸付け、新規事業展開等貸付け、福祉対応貸付け、緊急経営安定貸付けなどの事業資金等の貸付けが受けられる。担保、保証人不要。

(2)改正の主なポイント

  1. 小規模企業共済の加入対象者に個人事業主の「共同経営者」まで拡大。なお、共同経営者の掛金は全額所得控除の対象、また、受け取られる共済金も退職所得控除等の対象。
    ※「共同経営者(個人事業の経営に携わる個人)」であれば、個人事業主の親族でなくとも加入可。
  2. 小規模企業共済への加入を拒絶する事由を経済産業省令にて追加。
  3. 共済契約のみなし解除事由における、金銭出資による「法人なり」の取扱いを見直し。
  4. 掛金納付月数の通算における、同一人通算(旧契約者と新契約者が同一人)の範囲を拡大。
    ※「掛金納付月数の通算」とは、共済金の請求事由が発生した際、一定の手続きをすることによって、掛金の払い込み期間を通算して共済契約を継続すること。

2.中小企業倒産防止共済法の一部改正について

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、中小企業の取引先事業者が倒産したときに、経営難や連鎖倒産等に陥ることを防止する為に、掛金に応じた資格を無利子、無担保、無保証人で貸し付ける共済制度で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

中小企業倒産防止共済制度の概要、改正の主なポイントは次の通りです。

(1)概要

①加入資格:引き続き1年以上事業を行っていて、次のいずれかに該当する中小企業者。

  • 従業員300人以下または資本金3億円以下の製造業、建設業その他の業種の会社および個人。
  • 従業員100人以下または資本金1億円以下の卸売業の会社および個人。
  • 従業員100人以下または資本金5,000万円以下のサービス業の会社および個人。
  • 従業員50人以下または資本金5,000万円以下の小売業の会社および個人。
  • 企業組合、協業組合など。

②掛金

  1. 毎月5千円〜8万円(5千円刻み)の範囲内で選択し、掛金総額320万円まで積み立てが可能。
  2. 税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入。

③共済金:
加入後6ヶ月以上経過した中小企業に対し、取引先事業者の倒産によって売掛金債権等が回収困難となった場合に、共済金の貸付けが受けられます。

  1. 貸付額は、最高3,200万円で、貸付限度額は回収困難な売掛金債権等の額と掛金総額の10倍のいずれか少ない額。
  2. 返済期間は、5年間(据え置き期間6ヶ月)。
  3. 返済方法は、54ヶ月の均等分割による毎月返済。
  4. 担保、無保証人、無利子(但し、共済金の貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除。控除された額に相当する掛金の権利は消滅。)

④一時貸付金:
取引先事業者が倒産していなくても、契約者の方が臨時に事業資金を必要とする場合に、解約手当金の95%を上限として貸付けが受けられます。なお、貸付利率は、金融情勢に応じて変動し、利息は、貸付けの際に一括前払いです。

⑤解約手当金:
12ヶ月以上の掛金を払い込み、解約する場合、解約手当金が支払われます。

(2)改正の主なポイント

  1. 取引先の私的整理の開始を知らせる「通知」が届いた場合、共済金の貸付が受けられます。
    ※弁護士や認定司法書士からの支払停止通知があった場合が対象となります。
  2. 共済金の貸付限度額を、3,200万円から8,000万円に引き上げ。掛金も変更。
    貸付限度額 現行 3,200万円 → 改正後 8,000万円
    掛金月額  現行 5千円〜8万円 → 改正後 5千円〜20万円
    掛金総額  現行 320万円上限 → 改正後 800万円上限
  3. 早期償還手当金の実施:貸付金を繰り上げて償還した完済者に、手当金が支給されます。