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震災対応、「災害見舞金」に着目です

今回は震災後の「災害見舞金」に焦点をあてて、税務上の留意点をまとめてみました。

(1)被災した自己の従業員等に対する災害見舞金品<法人税>

法人が、被災した自己の従業員に支給する災害見舞金品は一定の基準に基づき福利厚生費として取り扱われます。「一定の基準」とは、

  1. 被災した全従業員に対して被災した程度に応じて支給されるものであるなど、各被災者に対する支給が合理的な基準によっていること、
  2. その金額もその支給を受ける者の社会的地位等に照らし被災に対する見舞金として社会通念上相当であること、

が必要です。

また、「一定の基準」については、あらかじめ社内の慶弔規定等に定めていたもののほか、今回の災害を機に新たに定めた規定等であっても、これに該当するものとして取り扱われます。

(2)退職した従業員や採用内定者に対する災害見舞金<法人税>

既に退職した従業員又は採用内定者に対する災害見舞金品であっても、被災した自己の従業員等と同一の基準に従って支給するものは、福利厚生費として損金の額に算入されます。

(3)被災した取引先に対する災害見舞金<法人税>

被災した取引先に対する災害見舞金が交際費等に該当しないものとして取り扱われるのは、それが被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程において支出されるものであり、慰安・贈答のための費用というより、むしろ取引先の救済を通じて自らが蒙る損失を回避するための費用とみることができるからです。

したがって、法人がこのような災害見舞金を支出するに当たって、その取引先の被災の程度、取引先との取引の状況等を勘案した相応の災害見舞金であれば、その金額の多寡は問いません。

また、法人が災害見舞金を支出した場合に、取引先から領収書の発行を求め難い事情にあることも考えられますが、このようなときには、法人の帳簿書類に支出先の所在地、名称、支出年月日を記録しておくことが必要です。

(4)取引先の役員等に個別に支出する災害見舞金<法人税>

法人が、得意先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用は、慰安、贈答のために要する費用に当たることから、交際費等として取り扱われます。

法人が被災した取引先の役員や使用人に対して個別に支出する災害見舞金は、個人事業主に対するものを除き、取引先の救済を通じてその法人の事業上の損失を回避するというよりは、いわゆる付き合い等としての性質を有するものであると考えざるを得ないことから、このような支出は交際費等に該当するものとして取り扱われることになります。

なお、「取引先の役員や使用人」であっても、法人からみて自己の役員や使用人と同等の事情にある専属下請け先の役員や使用人に対して、自己の役員や使用人と同様の基準に従って支給する災害見舞金品については、交際費等に該当しないものとして取り扱われます。

(5)個人が受け取った見舞金<贈与税>

個人が受け取った見舞金がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、贈与税及び所得税の課税の対象とはなりません。

(6)法人が受け取った義援金や見舞金<法人税>

法人税法上、法人が受けた義援金や見舞金の収入金額は益金の額に算入されます。
(注)災害により被害を受けた法人の有する商品、店舗、事務所等の資産の損失額は、損金の額に算入されます。