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家財の損害と雑損控除

災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。

1 雑損控除の対象になる資産の要件

損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。

  1. 資産の所有者が次のいずれかであること。
     イ 納税者
     ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者。
  2. 生活に通常必要な住宅、家財、衣類などの資産であること。
    (事業用の資産や別荘、書画、骨董、貴金属等で1個又は1組の価額が30万円を超えるものなどは当てはまらない。)

2 雑損控除として控除できる金額

  1. (差引損失額)−(総所得金額等)×10%
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額)−5万円

昨年起きた震災のような大規模な災害を受け、家財の損害額を個別に算定することが難しいような場合、合理的な計算方法として、「家族構成別家財評価額×被害割合」で家財の損害額を算定することができます。

家族構成別家財評価額で家財の損害額を算定する際に、1世帯に納税者が複数人いる場合は、世帯所得に占めるそれぞれの所得割合で損害額を按分し、各人が雑損控除を適用することになると考えられます。

雑損控除は、納税者本人が所有する資産だけでなく、納税者と生計一で総所得金額等が38万円以上の者が所有する資産も対象となります。そのため、納税者である世帯主と家族全員が生計一で、世帯主以外の者の総所得金額等が38万円以下であれば、損害を受けた家財が世帯主のものでなくとも、その損害額は世帯主の雑損控除の対象に含まれることになります。

しかしながら、世帯主以外に納税者がいる場合、その者が所有する家財の損害額については、世帯主の雑損控除の対象とはならず、その納税者本人の雑損控除の対象となります。

そのため、納税者が1世帯に複数人いる場合、各人が所有する家財ごとに、損害額を算定する必要があります。ところが、家族構成別家財評価額により算定した損害額は、その世帯が有する家財全体の損害額であるため、算定した損害額を納税者各人に振り分ける必要があります。

誰がどれだけの家財を所有し、その家財の損害額がいくらであるかなどを算定するのは困難であるため、各人の所得の割合で損害額を按分することが、最も合理的だといえます。

たとえば、専業主婦と成人の子どもが2人いる世帯の場合、家族構成別家財評価額によると、被害割合が100%であれば、1,800万円がその世帯の家財の損害額となります。専業主婦の妻には所得がなく世帯主の夫の所得が500万円、子どもの所得がそれぞれ250万円ずつとした場合、損害額の1,800万円を所得の割合で按分すると、夫は900万円、子どもは450万円ずつを家財の損害額として、それぞれ雑損控除の対象となる額を計算することになりますね。