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トピックス
社会保険診療報酬の所得計算の特例の改正
医業又は歯科医業に係る総収入金額7,000万円超は対象外に
平成25年度税制改正で、社会保険診療報酬の所得計算の特例が改正されました。本特例は、社会保険診療報酬5,000万円以下が適用要件となっていますが、医業又は歯科医業に係る総収入金額が7,000万円超の場合は、適用対象から除外されることとなりました。
医業又は歯科医業に係る総収入金額とは、診療等といった医療行為に係る収入のことであるため社会保険診療報酬だけでなく自由診療収入も適用判定の基準に含まれることになったということです。一方、マスク等の物品販売に係る収入といった、いわゆる雑収入は含まれません。
なお、この改正は、個人は平成26年分以後の所得税から、法人は平成25年4月1日以後開始事業年度から適用されます。
厚労省の調査の結果、総収入金額7,000万円以下を要件に
社会保険診療報酬の所得計算の特例は、医業又は歯科医業を営む個人、法人が、実額経費に関わらず、社会保険診療報酬を四段階の階層に区分して、各階層の金額に一定割合を乗じた額を社会保険診療に係る経費とすることができるというものです。
小規模医療機関の事務負担を軽減させる観点から創設された特例ですが、社会保険診療報酬が少額でも、多額の自由診療収入を得ており、小規模医療機関といえないような医療機関も特例を適用できてしまうことなどを会計検査院が指摘したようです。
これを受け厚労省は、個人で開業している医師と歯科医師に実態調査を行った。その結果、総収入金額が7,000万円超の医師においては、総収入金額のうち4割以上が自由診療収入となっていたため、25年度改正で、従来からの社会保険診療報酬5,000万円以下ということに加え、医業又は歯科医業に係る総収入金額が7,000万円以下であることも要件になりました。
“雑収入”は医業又は歯科医業に係る収入には含まれず
社会保険診療報酬が5,000万円以下で、かつ、医業又は歯科医業に係る総収入金額が7,000万円以下であることが特例の適用要件となりましたが、具体的には、「医業又は歯科医業を営む社会保険診療が5,000万円以下であり、かつ、医業又は歯科医業から生ずる事業所得に係る総収入金額が7,000万円以下であるとき」と規定されています。
医業又は歯科医業から生ずる収入とは、医師や歯科医師が行う診療等の医療行為から生じる収入のことで、社会保険診療報酬と自由診療収入が該当します。医薬品の仕入れリベートや歯ブラシやマスクなどの物品販売に係る収入など、いわゆる雑収入は、事業所得に含まれますが、ここでいう医業又は歯科医業から生ずる総収入金額には含まれません。
なお、“社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置”と、“医療法人の社会保険診療以外部分に係る事業税の軽減措置”については、改正されずに、従前どおり在置されています。
(参考:『税務通信』3263)